AGA治療薬とEDの関係

AGA治療薬とEDの関係 AGA(男性型脱毛症)

以前から薄毛の悩みを改善するAGA治療を使うと、EDや性欲が減退する噂があります。

成分フィナステリドを配合した「プロペシア」の添付文書には、リビドー減退や勃起機能不全の文字が見受けられます。

ただし、数字を見ると低い割合での話のようです。

実際はどうなのでしょうか? AGA治療薬の特徴と合わせて見て行きましょう。

AGA治療薬の働き

AGA治療薬には現在主に以下の3種類の成分が使用されています。

フィナステリド

デュタステリド

ミノキシジル

フィナステリドとデュタステリド

フィナステリドとデュタステリドには、5α-還元酵素を阻害する効果があります。

5α-還元酵素は男性ホルモンのテストステロンを、脱毛の原因となるヘアサイクルの乱れを起こすジヒドロテストステロン(DHT)に変換する働きがあります。

ジヒドロテストステロンには体毛を濃くする、前立腺を肥大させる、皮脂の過剰分泌のためニキビになる、そしてヘアサイクルを乱しAGAの原因となる働きをします。

5α-還元酵素を阻害することで、DHTの生成を抑えヘアサイクルを正常化することで、脱毛や細毛を改善する働きがあります。

5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型の2種類あり、フィナステリドはⅡ型のみ、デュタステリドにはⅠ型とⅡ型に効果があります。

ミノキシジル

ミノキシジルは元々血管拡張作用があり、血流を活性化させることで発毛に必要な養分を巡らせる効果があります。

その他、IGF-1と呼ばれる毛の成長因子を増やすとも言われています。

ミノキシジルは男性ホルモンとは関わらない作用機序のため、フィナステリドなどとの併用が可能です。

EDなどの副作用が指摘される理由

AGA治療薬とEDの副作用に関して言われているのは、男性ホルモンに関わる作用があるからです。

性欲や勃起は男性ホルモンに影響されるイメージもあるので、フィナステリドの使用はEDになってしまうイメージもあるのかも知れません。

実際に性欲を高める男性ホルモンのテストステロンに対して、フィナステリドわずかではありますが、減少されるとされているため、可能性が少ないですが0%だと言い切れないのも事実です。

AGAとEDに関しては男性の悩み上位に食い込むほど多い問題であり、中には同時に発症しているケースも決して珍しくないため、併用する場合には注意が必要です。

フィナステリドの試験結果

フィナステリド(プロペシア)の臨床試験での副作用の発現率は以下のものになります(生殖器に関する部分のみ)。

・頻度不明

睾丸痛、血精液症、男性不妊症、精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動低下、精子形態異常)

・1~5%未満

リビドー減退(性欲減退)

・1%未満

ED(勃起機能不全)、射精障害、精液量減少

被験者はフィナステリド0.2mg服用が137名、1mg服用が139名の合計276名とプラセボ(偽薬)服用の138名が行っています。

EDの副作用を申告したのが276名中の2例(0.7%)、リビドー減退の副作用を申告したのが3例(1.1%)です。

デュタステリドの試験結果

デュタステリドの場合の副作用の発現率は以下のものになります(生殖器に関する部分のみ)。

・頻度不明

精巣痛、精巣腫脹

・1%以上

勃起不全、リビドー減退、射精障害

・1%未満

乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)

こちらは共同国際試験557例(日本人120人)のうち95例(17.1%)で報告された副作用です。

内訳は勃起不全が24例(4.3%)、リビドー減退22例(3.9)、精液量減少7例(1.3%)です。

AGA治療薬の副作用か?

AGA治療薬の副作用としてEDの症状が出るという方は、ED予備軍であったり噂が影響した思い込みによるED、もしくは性行為に対するプレッシャーなど、別の心因的な理由でのEDの可能性があります。

本物と思い込み偽薬を飲んだら症状が改善するプラシーボ効果がありますが、逆に副作用を気にするばかり悪影響が現れるノシーボ効果もあります。

男性の勃起はとにかくデリケートで、些細なことで急に反応が無くなる場合もあるので、EDや性欲減退の症状が全てAGA治療薬の副作用という訳ではありません。

副作用が現れるタイプ

薬の効果や副作用については個人差があり、副作用が現れやすい方もいます。

他に成分量の多い薬を飲んでいる場合も、副作用が現れやすくなります。

もしEDや性欲減退の症状が現れても、薬の使用を中止すれば副作用は収まります。

ポストフィナステリド症候群とは?

ただし例外の症状もあります。

プロペシアが発売されて数年後に、ポストフィナステリド症候群が話題となりました。

日本でもメディアに取り上げられた時期があったので、聞いたことがある方もいるかも知れません。

これはフィナステリドが配合されたプロペシアなどの薬を使用後、EDや性欲減退、うつ症状、体の倦怠感などの副作用が現れ、使用を止めた後でもそれらの副作用が継続して現れるというものです。

この症状になる割合は、副作用になった人の5%のため、プロペシアを使用している人の0.25%になるそうです。

現在はその後の研究で、出現率の低さもありEDや性欲減退とフィナステリドとの因果関係はないという結論が出ています。

AGA治療薬の使い方

ただしこれらの副作用はごく稀な数で薬との因果関係は不明ではありますが、症状を訴える方がいるのも事実で薬の添付文書にも副作用として記載してあります。

それを踏まえ、EDや性欲減退については「ほとんど現れない副作用ですが、出ることも踏まえて使用」することようにしてください。

知らずに使用して後からパニックになることは避けるようしましょう。

フィナステリドやデュタステリドでの副作用が気になる方は、ミノキシジルの使用がお勧めです。

関連ページ

参考サイト

薄毛治療薬でEDになる!?AGA薬にまつわるウソ・ホント

プロペシア錠 添付文書

ザガーロ 添付文書

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