日本人男性の4人に1人はED、国民の6.8人に1人は生活習慣病の治療を受けていると言われています。
EDや生活習慣病などの疾患は実は睡眠不足や日々の生活習慣が密に関係しています。
このページでは、睡眠不足が招くEDや健康被害の実態、そして睡眠の質を上げるコツを紹介していきます。
睡眠不足とEDの相関関係とは?
日本人男性の4人に1人はEDの悩みを抱えていると言われています。
そして意外なことに、EDに強い相関関係があるのが睡眠不足です。
睡眠不足がEDを招く理由は複数あり、近年の研究では理想の睡眠時間から少しでも不足しただけでも、EDの発症リスクが跳ね上がることが明らかにされています。
以下では睡眠不足とEDの相関関係について、詳しく解説していきます。
テストステロンの分泌が低下
睡眠不足はテストステロンの分泌を低下させることで、EDの発症につながります。
男性ホルモンの1種であるテストステロンは性欲や勃起力を向上させる役割があり、男性機能を維持するために欠かせません。
テストステロンが分泌されるのは主に睡眠中で、眠りが深くなると分泌量も多くなることがわかっています。
しかし睡眠不足になると、ホルモンの分泌をコントロールする下垂体の働きが低下してしまいます。
下垂体の働きが低下することでテストステロンの分泌量も少なくなってしまい、EDのリスクが高まります。
また加齢によるテストステロンの分泌量の低下は年間で約1%であるのに対し、1日の睡眠時間が5時間未満である場合、1週間後にはテストステロンの量は約10~15%も減少するという研究結果もあります。
睡眠不足が1週間続くだけで、男性機能は10~15歳ほど衰えてしまうのです。
自律神経が乱れる
睡眠不足は自律神経の乱れにつながり、EDの原因となります。
自律神経には、緊張時や活動をする時などに働く交感神経、リラックスしている時に働く副交感神経の2種類があります。
男性の勃起はリラックスした状態でなければ起こらないため、重要なのは副交感神経です。
例えば仕事や学業に取り組む昼間は交感神経が優位に、夜に家で過ごす際には副交感神経が優位になり、自律神経は規則的なリズムで働いています。
しかし睡眠不足が続くと、交感神経が優位になります。
交感神経が優位に働くと身体や脳が緊張が高まってしまい、性的な興奮や刺激を受けた時のシグナルがペニスまで十分に伝達されません。
結果的に勃起がしにくい、硬さが維持できないなど、EDの症状が現れてしまうのです。
血流の低下
睡眠不足は血流の低下を招いてしまい、EDを引き起こすことがあります。
男性の勃起は、ペニスにある海綿体に十分な血液が流れ込むことで起こる現象です。
しかし血流が悪くなると、ペニスに流れる血液量も少なくなるため勃起しにくくなります。
血流が低下する理由のひとつが、自律神経の乱れです。
睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、交感神経が優位になります。
交感神経が優位になると身体や脳が緊張状態になり、血管が収縮することで血流が低下します。
また睡眠不足が慢性化すると疲労が満足に回復できず、身体のさまざまな機能にダメージが生じます。
血管に炎症が起こることもあり、血流の悪化につながります。
結果的に睡眠不足はさまざまな理由で血流を低下させ、EDの原因となります。
睡眠時間5時間未満の65%がED
睡眠時間が足りていない方は、本当にEDになりやすいのでしょうか。
全国の30~49歳の男性500名を対象として、2015年に実施されたインターネット調査ではEDと睡眠不足の関係性が明らかにされています。
調査によると、睡眠時間が5時間未満の方には「EDの自覚がある」と回答した方が多いという結果になりました。
特に睡眠時間が4~5時間の方は、EDの自覚ありと回答した方が65%と過半数を超えています。
一方、睡眠時間が6時間を超えている方において、EDの自覚がある方は40%前後です。
睡眠不足はさまざまな理由からEDにつながることは、先に解説してきた通りです。
実際におこなわれた調査でも睡眠不足とEDの相関関係があることは明白であり、男性機能を維持するためには十分な睡眠時間が必要なことがわかります。
睡眠不足が招く健康被害
近年の研究によると、睡眠不足はさまざまな健康被害を招くことが明らかにされています。
主に上記のような健康被害を招いてしまい、睡眠不足は心身の健康に多くの悪影響をもたらします。
また睡眠不足が招く健康被害は、EDと密接に関係するものばかりであることも事実です。
生活習慣病リスクが高まる
睡眠不足は、多くの生活習慣病のリスクを高めることがわかっています。
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
まず睡眠不足が続くと交感神経が優位になり、血管が収縮して血圧が上がります。
血圧が高い状態が続くことで高血圧のリスクが高まると考えられています。
続いて睡眠不足により、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンの働きが低下することも明らかにされています。
インスリンの働きが悪くなることで、糖尿病の発症を招いてしまうのです。
さらに睡眠不足は、食欲を抑えるホルモンの分泌を減少させ、反対に食欲を高めるホルモンの分泌を増加させます。
食欲が抑えられなくなることで食べ過ぎてしまい、肥満のリスクにつながってしまいます。
また高血圧や糖尿病、肥満はいずれも動脈硬化を招く疾患であり、EDの症状とも深く関係しています。
動脈硬化は血管が厚く、硬くなった状態であるため、ペニスに流れる血液量も少なくなり勃起がしにくくなる器質性EDが起こります。
実際に生活習慣病の初期症状としてEDが見られることもあり、生活習慣病とEDには密接な関係があることが明白です。
精神疾患にもなりやすくなる
睡眠不足が続くことで、精神疾患になりやすくなるという研究結果もあります。
2016年に日本の12~18歳の学生15,637人を対象として、うつ病と睡眠不足の関係について調査が実施されました。
質問票を用いて睡眠時間とうつ病リスクを調べると、睡眠時間が8時間前後の学生と比較した時、睡眠時間が5時間程度の中学生はうつ病の発症リスクが3倍以上となりました。
原因は明らかにされていませんが、睡眠不足の方や睡眠時間が極端に短かったり長かったりする方は精神疾患になりやすいと考えられています。
さらに精神疾患は、EDと関係していることも覚えておきましょう。
うつ病などの精神疾患は抑うつ症状が起こり、何に対しても意欲が湧かなくなります。
意欲の低下は性欲にも見られ、心因性のEDにつながることがあります。
また抗うつ剤の中でも使用頻度の多いSSRIという種類の医薬品は、性的な衝動にかかわるドーパミンを抑制することで知られています。
服用中は医薬品の作用により男性機能が低下する、薬剤性EDが起こるケースも報告されています。
参考サイト
・寝不足を続けるとどんなリスク(影響)があるの?
ストレスを感じやすくなる
睡眠不足になると、ストレスを感じやすくなると言われています。
人間はストレスを感じると、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールはストレスと戦うため、血糖値を上げるなどして身体を臨戦態勢にする重要なホルモンです。
しかしコルチゾールは睡眠不足が続くと、過剰に分泌されてしまいます。
コルチゾールが分泌されすぎると自律神経が乱れ、集中力の低下やイライラしやすくなるなどストレスへの耐性が低下してしまうのです。
精神的なストレスがあると性的な興奮がペニスに伝わらず、心因性のEDになる恐れがあります。
日本でおこなわれた調査では、EDの自覚がある20~40代の男性の8割が、ストレスが原因だと感じていると回答しています。
またコルチゾールの分泌が増え続けると、生活習慣病やうつ病などのリスクが上がることもわかっています。
生活習慣病やうつ病もEDの発症につながるため、ストレスとEDは深い関係があると言えます。
睡眠は量も大事だが質も大事
現代の日本において、睡眠不足は社会問題となっています。
2019年に実施された調査では、日本は世界で最も平均睡眠時間が短い国であるという結果が報告されました。
アメリカやイギリス、フランスなどの主要先進7ヶ国と比べて、日本の平均睡眠時間は1時間以上も短いとされています。
しかし仕事や家事が忙しく、いきなり睡眠時間を増やそうとしても難しいという方も多いことでしょう。
そこで重要になる意識したいのが、睡眠の質です。
睡眠時間がEDや健康被害につながることは説明してきましたが、睡眠は量だけでなく質も重要視されています。
例え長時間睡眠を取っていても、睡眠の質が悪いと心身の健康にダメージを受ける可能性があります。
十分に寝ているはずなのに疲れが取れない、日中のパフォーマンスが上がらないなどの場合は、睡眠の質を見直してみましょう。
睡眠の質を上げる方法
ここからは、睡眠の質を上げる方法を解説していきます。
睡眠の質の良し悪しには、生活習慣や寝具、食事など複数の要素が関わっています。
「十分に寝たはずなのに疲れが取れない」「朝起きた時に十分に眠れた感じがしない」などと感じる場合は、睡眠の質が悪い証拠です。
さまざまな工夫が睡眠の質の向上につながるため、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠の質を上げる6つのコツ
まずは睡眠の質を向上させるための、6つのコツをご紹介します。
- 寝る3時間前までに夕食を終える
- 寝る1時間~2時間前に入浴を済ます
- 寝る30分前はPCやスマホなどのブルーライトを浴びない
- 寝る前に軽くストレッチを行う
- 自分に合う寝具を使う
- 睡眠サプリで栄養素をサポートする
眠りにつく前の過ごし方や寝具の選択は、睡眠の質の良し悪しを左右します。
睡眠の質が悪いと感じている方は、寝る前の習慣や普段使っている寝具の見直しをしてみましょう。
加えて睡眠補助を目的としたサプリメントも登場しているので、服用してみるのもおすすめです。
質の良い睡眠を取ることで自律神経やホルモンバランスが整いやすくなり、生活習慣病やうつ病、またEDなどの疾患の予防につながります。
自分に合う寝具の選び方
睡眠の質を高めるためには、自分に合った寝具を選ぶことが重要になります。
寝具の中でも一番に見直したいのが、マットレスの硬さです。
マットレスの硬さは硬め・普通・柔らかめの3種類に分かれ、硬いものほど弾力性が低く、柔らかいものほど弾力性が高くなります。
体型や寝方などにより、次のように選びましょう。
- 硬め:腰痛持ちの方、がっちりとした体格の方
- 普通:敷布団に慣れている方、標準体型の方
- 柔らかめ:横向きで寝ることが多い方、やせ型の方
またマットレス以外に、睡眠の質を大きく左右するのが枕です。
素材や形状などが多様化していますが、最も意識したいのは枕の高さになります。
枕は高すぎると首に、低すぎると肩に負担がかかってしまいます。
首や肩に負担がかからない、頸椎のカーブに合った高さの枕を選ぶのがポイントです。
睡眠をサポートする食べ物やサプリ
近年では睡眠サポートを目的とした食べ物やサプリが多数登場しています。
例えば睡眠の質を向上させる食べ物や飲み物は、コンビニでもさまざまな種類が販売され注目を集めています。
- ネルノダ
- ピルクル ミラクルケア
- ヤクルトY1000
またサプリメントであれば、以下のような成分が配合された商品が睡眠サポートにおすすめです。
- メラトニン
- GABA
- バレリアン
しかしここで紹介した食品やサプリメントは、あくまでも睡眠をサポートするためのものばかりです。
睡眠の量や質に不満を抱えている方が使用して、必ずしも効果が出るとは言い切れません。
サプリメントなどを使用しても眠れない方は、入眠作用が医学的に認められている睡眠薬を試してみることをおすすめします。
睡眠の質を上げるストレッチ
ぐっすり眠るためにおすすめなのが、寝る前のストレッチです。
ストレッチをおこなうことで心身がリラックスし、質の良い睡眠を誘います。
ここでは睡眠の質を上げるためにおすすめな、3つのストレッチをご紹介します。
- ①シャワーのお湯を首の後ろに当てる。(入浴時におこなう)
- ②親指を除く両手の指を組む。
- ③首の横にあるくぼみを親指で軽くつかむ。
- ④両手をゆっくりと上下に動かす。
- ⑤1分ほど続ける。
- ①左右の脇を開き、ひじを曲げる。
- ②肩甲骨を寄せるように、両腕をゆっくりと後ろに回す。
- ③ひじが身体の前に来たら、手を組んで腕を前に伸ばす。
- ④組んだ両腕を頭の上に持ってきて、天井に向かって伸ばす。
- ⑤①~④の流れを、1分×5~6回を目安におこなう。
- ①あぐらの状態で座り、左右の足の裏を合わせる。
- ②背筋をできるだけ伸ばせる位置に足を置き、両手で足をつかむ。
- ③ゆっくり息を吐きながら、背筋を伸ばした状態で身体を前に倒す。
- ④余裕がある場合、肘で左右の内ももを押す。
- ⑤①~④の流れを、1分×3回を目安におこなう。
睡眠の質を解消しED・生活習慣病を予防
EDや生活習慣病は、発症リスクを高める要因のひとつに睡眠不足が関わっています。
しかし仕事や家事が忙しく睡眠の量が取れない方も、睡眠の質を改善することで予防することが可能です。
睡眠の質を改善するためのコツは今日からスタートできるため、今すぐ実践してみましょう。
生活のリズムを変えられず、なかなか実践できない方は睡眠サポートを目的としたサプリや睡眠薬などもおすすめです。
服用を続けることで、睡眠習慣の改善が期待できます。
また睡眠不足と密接な関わりがあるEDは、ED治療薬を使用することで80%の方が治療できます。
ED治療薬は服用した日のうちにEDの症状が改善されるため、すぐに治療したい場合はぜひお試しください。