ミノキシジルは優れた発毛効果があることで評判の薄毛治療薬です。
しかし良い効果だけではなく、副作用が起こる可能性があることはご存じでしょうか?
ミノキシジルを安全に使用するためには、起こり得る副作用について知ることも重要です。
ここでは内服薬と外用薬に分けて、ミノキシジルの副作用をご紹介していきます。
ミノキシジルタブレット(内服薬)の副作用
ミノキシジルタブレット(内服薬)の副作用として報告されているのは、次のような症状です。
皮膚 | ・全身の多毛症 |
---|---|
心血管系 | ・胸の痛み ・心拍数の増加 ・動悸 ・息切れ ・一時的な浮腫 ・体重増加 |
胃腸 | ・吐き気 ・嘔吐 |
その他 | ・乳房の圧痛 |
上記の症状の中でも、特にミノキシジルタブレットに多いのは多毛症の副作用です。
多毛症は体毛が濃くなる副作用であり、眉間や額、頬の上部、また背中や腕、脚などさまざまな部位において発生することがあります。
発生頻度も高いため、女性は特に注意が必要な副作用です。
参考:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
ミノキシジルタブレット(内服薬)の副作用の頻度
ミノキシジルタブレットの副作用の発生頻度は、次のようになります。
一時的な浮腫:7%
乳房の圧痛:1%未満
発生頻度が明らかにされている副作用は、上記の通りです。
ミノキシジルタブレットは、多毛症以外の副作用の発生頻度は高くありません。
しかし多毛症の発生頻度は80%と、服用している方の多くに見られます。
一般的に、ミノキシジルタブレットの服用を開始してから3~6週間以内に多毛症を発症することが多いとされています。
服用を中止すると新しい毛の成長が止まるものの、多毛症が改善されるまで1~6ヶ月は必要です。
参考:DailyMed – MINOXIDIL tablet
ミノキシジルタブレット(内服薬)の重大な副作用
ミノキシジルタブレットには、重大な副作用も報告されています。
服用の際に異変を感じた場合は、上記の初期症状の恐れもあるため十分に注意してください。
心膜炎、心嚢液貯留およびタンポナーデ
ミノキシジルタブレットの服用により、心膜炎を発症したとの報告があります。
さらに透析を受けていない患者さんで、特に腎機能が低下している方の約3%にタンポナーデを伴う心嚢液貯留も見られています。
ふらつきや息切れ、心拍数の増加などが見られた場合は心膜炎や心タンポナーデの可能性があります。
ミノキシジルタブレットの服用を中止し、すぐに病院を受診するようにしてください。
うっ血性心不全
ミノキシジルタブレットは、重大な副作用としてうっ血性心不全が報告されています。
うっ血性心不全を発症すると体内における血液の循環が十分にできなくなり、血液を不足した臓器の障害が起こります。
全身のむくみや息切れ、動悸などはうっ血性心不全の前兆の可能性があるため、十分に注意してください。
ミノキシジル外用薬の副作用
ミノキシジル外用薬において報告されている副作用は、次の通りです。
皮膚 | ・頭皮の発疹 ・発赤 ・かゆみ ・かぶれ ・ふけ ・使用部位の熱感など |
---|---|
精神神経系 | 頭痛 ・めまい ・気が遠くなる |
循環器 | ・心拍数の増加胸の痛み |
代謝系 | ・手足のむくみ ・原因不明の急激な体重増加 |
ミノキシジル外用薬の使用後に上記のような症状が現れた場合は、副作用の可能性があります。
副作用が発生したときは使用を中止し、すぐに医師の診察を受けるようにしてください。
ミノキシジル外用薬の副作用の頻度
ミノキシジル外用薬は、安全性や有効性を調べるための特別調査がおこなわれています。
調査により判明した副作用の発生数は3072例中271例、頻度にすると8.82%です。
報告された副作用の内訳は、以下の通りとなります。
症状 | 件数 | 頻度 |
---|---|---|
皮膚および皮下組織障害 | 70件 | 2.28% |
神経系障害 | 17件 | 0.55% |
心臓障害 | 7件 | 0.23% |
眼障害 | 4件 | 0.13% |
耳および迷路障害 | 2件 | 0.07% |
胃腸障害 | 2件 | 0.07% |
精神障害 | 1件 | 0.03% |
血管障害 | 1件 | 0.03% |
腎および尿路障害 | 1件 | 0.03% |
主に見られるのは、皮膚および皮下組織障害です。
具体的にはミノキシジル外用薬を使用した部位の炎症や頭部粃糠疹(フケ症)などの症状が多く報告されています。
ミノキシジルと初期脱毛
ミノキシジルの副作用として、特に知られているのが初期脱毛です。
初期脱毛とは、ミノキシジルの使用開始から2週間~3ヶ月ほどの時期に、一時的に抜け毛が増える症状を指します。
またミノキシジルであれば内服薬でも外用薬でも、初期脱毛は起こることがあります。
しかし初期脱毛は、ミノキシジルの発毛作用により新しい髪の毛が生え始め、それにより古い髪の毛が押し出されることで抜け毛が増える症状です。
マイナスな反応ではなく、むしろミノキシジルの効き目が現れ始めた前兆と言えます。
初期脱毛が起きるとミノキシジルの使用を中止する方も多いですが、最低でも3ヶ月以上は使い続けることが重要です。
ミノキシジルについて
ミノキシジルは、発毛作用が認められた唯一のAGA治療薬です。
血管拡張作用により頭皮の血流を促進し、より多くの栄養が毛母細胞に届くようにすることで発毛を促します。
ミノキシジルについて、一般的なのは頭皮に直接塗布する外用薬です。
市販ならミノキシジル最大5%、病院処方では5%以上のミノキシジルが配合された外用薬が購入できます。
一方、ミノキシジル内服薬は国内未承認のAGA治療薬です。
外用薬を上回る発毛効果が期待できる反面、副作用のリスクも高いのがミノキシジル内服薬の特徴になります。
市販はされていないため、購入方法は病院処方か海外通販のみです。
ミノキシジルの飲み方・使い方
ミノキシジルの飲み方や使い方は、次の通りになります。
1日1回の服用
■外用薬
1日2回、朝と晩に1回1mlを抜け毛が気になる箇所に塗布
まずミノキシジル内服薬には、2.5mg・5mg・10mgの3種類が流通しています。
初めは2.5mgから服用を開始し、効果が不十分である場合には医師と相談しながら5mg、10mgと増量していくことが一般的です。
続いて外用薬を使用する際には、髪の毛ではなく頭皮に塗ることが重要になります。
またミノキシジルの浸透率を上げるためにも、洗髪後の使用がおすすめです。
ミノキシジルの副作用に関するQ&A
ミノキシジルの副作用について、よくある質問を解説していきます。
疑問や不安な点がある方は、以下の内容を参考にした上でミノキシジルを使用するようにしてください。
ミノキシジルの副作用でうつになりますか?
ミノキシジルの副作用として、うつ病が発症したという報告は現在ありません。
しかしうつ病ではないものの、過去に1件のみ、ミノキシジルの副作用により不眠症になったとの症例があります。
数字にすると0.03%の頻度であり、めったに起こる症状ではありません。
ミノキシジルの副作用で心臓が悪くなりますか?
ミノキシジルタブレット(内服薬)の場合、稀に心臓に関する副作用が起こることが報告されています。
また血管拡張作用により、ミノキシジルタブレットの服用後に動悸や息切れなどの副作用が起こることもあります。
異変を感じた場合はミノキシジルタブレットの服用を中止し、すぐに病院を受診してください。
ミノキシジルの副作用は女性に多いですか?
ミノキシジルは、女性だからといって副作用が起こりやすい、というわけではありません。
成人女性を対象とした臨床試験では、ミノキシジル外用薬の使用による女性の副作用発現率は13.6%でした。
このとき、次のような症状が報告されています。
・臨床検査異常(リンパ球低下など):2.9%
・精神・神経症状(頭痛など):2.1%
・その他の症状:0.7%
また注意点として、女性の場合はミノキシジル外用薬は1~2%の製品しか使用できません。
さらに高用量の外用薬や成分量が多い内服薬を使用すると、副作用が出やすくなる恐れがあります。
女性の方がミノキシジルを使用する際は、成分量に注意してください。
参考:女性用リアップの臨床試験データ|リジェンヌヘアケアコンテンツ|大正製薬
ミノキシジルが効かない人もいますか?
ミノキシジルは加齢により起こる壮年性脱毛症の治療薬です。
円形脱毛症や甲状腺疾患による脱毛の場合、原因が異なるためミノキシジルを使用しても効果は期待できません。
また壮年性脱毛症の方がミノキシジルを使用しているのに抜け毛が収まらない場合にも、発毛効果が実感できないことがあります。
このようなケースでは脱毛症の進行が早いため、抜け毛を抑えるプロペシアやザガーロとの併用がおすすめです。