ダイエット・スタイル維持に人気なゼニカル。
女性の方でも使用している方は多いと思います。
しかし、妊娠を望む人、妊娠中の人には使用できるのでしょうか?
今回は、妊娠中や産後のゼニカルの服用について紹介していきます。
妊活を始めたいと考えている方も、ぜひ参考にしてください!
妊娠前にゼニカルを飲んでいる人
妊娠前にゼニカルを服用することについて、とくに注意喚起はされていません。
ただし、妊娠が確認された場合は服用を中止しましょう。
肥満治療薬による妊娠初期への影響を調査した研究によると、オルリスタット服用後には胎児に異常が生じるリスクの増加は確認されませんでした。
しかし、オルリスタットとシブトラミンを同時に服用した際には、6件の異常が発生したとの結果がでています。
オルリスタット単体での影響はないとされていますが、妊活を始める際や妊娠が確認された場合は、服用を中止するようにしましょう。
参考:Antiobesity drugs in early pregnancy and congenital malformations in the offspring – PubMed
パートナーがゼニカルを服用している場合は?
パートナーの男性がゼニカルを服用している場合、精子に成分が混ざっているのではないかと心配になる方もいるでしょう。
しかしこれまでの研究では、ゼニカルが精子に直接影響を与えたり、成分が精子に混ざるという報告はありません。
ただし、妊活を始める場合は、念のために服用を避けることをおすすめします。
妊娠中はゼニカルを飲めない
妊娠をしている場合、ゼニカルを服用してはいけません。
妊娠中は必然的に体重が増加します。
体重管理は大切ですが、過度なダイエットは避けるべきです。
ゼニカルは脂肪の吸収を妨げる作用があるため、胎児の栄養素の吸収にも影響を及ぼす可能性があります。
妊娠中は、胎児の成長に必要な栄養素を確保することが優先です。
絶対にゼニカルを服用しないようにしましょう。
参考:DailyMed – XENICAL- orlistat capsule
産後・授乳中のゼニカルは避ける
ゼニカルを服用した際、その成分が母乳に含まれるかについての調査はおこなわれていません。
しかし、ゼニカルの服用は授乳中も避けるべきです。
授乳中にゼニカルを服用することによる弊害として、脂溶性ビタミンであるビタミンKやビタミンDが排泄されてしまう可能性が挙げられます。
これらが不足することにより、胎児の骨の成長を妨げてしまうのです。
母乳は通常の場合でも、一部の脂溶性ビタミンが不足しがちといわれています。
必要な栄養をより不足させないためにも、授乳中はゼニカルを服用しないようにしましょう。
参考:母乳で不足しやすい栄養素|母乳のヒミツ|母乳研究|まめコミ
そもそもゼニカルとは?
ゼニカルは、油っぽい食事から摂取した脂質の吸収を抑制し、過剰となった約30%を便として排泄させる肥満症治療薬です。
過度な食事制限をしなくても脂肪を排除できるため、ダイエットやスタイル維持を望む方に人気の医薬品です。
現在は医療機関での処方が主流ですが、今後は市販化が予定され、処方箋なしで購入できるダイエット医薬品として販売される予定です。
1日3回、食事中や食後1時間以内の服用で効果を発揮します。
ゼニカルの注意点
ゼニカルを服用した際、以下の副作用があらわれる可能性があります。
- 油漏れ
- 排便回数の増加
- 腹痛や腹部不快感
併用してはいけない医薬品にも注意が必要です。
- レボチロキシン(甲状腺ホルモン補充薬)
- ワーファリン(抗凝固薬)
- アミオダロン(抗不整脈薬)
- 抗てんかん薬
- 抗レトロウィルス薬(HIV治療薬)
- シクロスポリン(免疫抑制剤)
また、脂質とともに脂溶性ビタミンも一緒に排出される可能性があります。
ビタミンの不足を防ぐために、サプリメントの併用をおすすめします。
参考:DailyMed – XENICAL- orlistat capsule
ゼニカルと妊娠に関するQ&A
ゼニカルと妊娠に関する質問をまとめました。
ゼニカルの服用による影響や安全性について、詳しく解説します。
適切に判断するために、ぜひ役立ててください。
ゼニカルはどこで買えますか?
ゼニカルは、処方箋が必要な医薬品として、病院や美容クリニックを中心に販売されています。
しかし2022年、大正製薬の「アライ」が、ゼニカルと同じ成分を含む医薬品として厚生労働省により処方箋なしでの購入が認可されました。
今後は、市販薬としてドラッグストアなどで購入可能となる予定です。
また、ゼニカルは海外通販サイトで購入することができます。
ジェネリック医薬品に関しては低価格で購入できるため、選択肢のひとつとして検討するのも良いでしょう。
妊活中にゼニカルの服用は伝えるべきですか?
妊活中にゼニカルを服用している場合、必ず医師へ伝えてください。
ゼニカルは脂肪分の吸収を妨げる作用があるため、妊婦に必要な栄養素の吸収にも影響を与える可能性があります。
栄養素が不足することにより、胎児の発達や成長に害を与える危険性があります。
自身の身体や胎児に悪影響を与えないよう、自己判断は避け、医師へ相談しましょう。
ピルとゼニカルは併用できますか?
低用量ピルとゼニカルは併用できます。
ゼニカルは低用量ピルの作用に影響しません。
ただし、同時に服用することで、ゼニカルの成分がピルの吸収を妨げる可能性があります。
両方の効果をしっかりと発揮させるために、一定の時間をあけて服用することをおすすめします。
ゼニカルの服用中に死亡するリスクはありますか?
ゼニカルの服用で死亡することはなく、その因果関係も認められていません。
ゼニカル服用後に重度の肝障害が発現し、その中で肝不全による死亡例が2件ありますが、服用そのもので死亡に至ったケースはありません。
肝障害が起こった原因として、ほかの医薬品と併用していたことや、肝障害が発現しやすい健康状態にあったことなどが考えられます。
妊娠を考えたらゼニカルは中止しよう!
理想のスタイルを目指す女性に人気のゼニカルですが、妊活を始める際や、妊娠が確認された際には服用を中止しましょう。
母体の体重が減少すると、必要な栄養素が不足し、胎児にとって必要な栄養を届ける役割をもつ母乳にも影響が生じます。
妊娠中は、胎児の成長に必要な栄養素を確保することが優先です。
ゼニカルの服用は避け、栄養をしっかり摂ることを意識しましょう。