和田アキコや歌丸師匠も経験したCOPDとは

あなたの周りには煙草を吸う人がいますか?またはあなた自身が喫煙者ですか?
肺がんや肺気腫など自覚症状のある病気を引き起こすことで有名な煙草ですが、実は自覚症状がない今でも病気にかかっているかもしれないことを自覚してください。
COPDの正体
普段の私生活において、階段を上ったり軽い運動ですぐに息切れを起こしてしまう場合はあなたもCOPDを抱えているかも知れません。
COPDはタバコ病とも呼ばれており、喫煙者だけではなく周囲の煙などによっても発症するとされています。
そのため喫煙者はもちろんですが、受動喫煙活動を行っている方や同居する人間などが煙草を吸う場合、自身が吸っていなくてもCOPDになってしまう場合があります。
COPDはある日突然呼吸困難になり、病院での診断でCOPDが判明する場合が多く、「慢性気管支炎」や「肺気腫」など有名な肺の病気の延長線上です。
今煙草を吸っていなくても過去に吸っていた方であれば可能性はあるとされているため安心できません。
COPDになってしまうと呼吸が苦しく、生活に支障をきたします。
当たり前のようにできていた呼吸ができないということは仕事などにも支障が出てしまい、経済的困難にもなりかねません。
苦しいあまり食欲が低下し、栄養が不足することで肺がんや動脈硬化などの合併症をも引き起こす非常に怖い病気です。
COPDの患者数
今日本にはCOPDの患者数が約530万人ほどいるとされています。
中でも60歳以上の高齢者のうち5人に1人はCOPDにかかるとされておりますが、COPDの知名度がまだまだ浸透していないことから治療を受けずに合併症を引き起こしたり、重い病気にかかってしまったりします。
2018年半ばに亡くなった歌丸師匠もCOPDに苦しみ、呼吸がしっかりとできないため車椅子生活と呼吸器をつけて長い間生活していました。
また数年前では麻雀をしているときに1カートン吸っていたとされるヘビースモーカー、和田アキコもCOPDの診断を受けて、煙草を止めています。
こうしたようにCOPDは死にも直結してしまう非常に怖い病気ですがまだまだ認知度が低く、治療をしない方が多い病気なのです。
自覚症状がない
では何故治療しないのでしょう。
それはCOPDがゆっくりと進行していくため、症状に気付きにくいという点もあります。
初期症状の表れとして、咳や痰、息切れを引き起こしますがどれも年齢を重ねた人間に起こり得るものだと軽視していることで、治療が遅れてしまう傾向にあります。
もし煙草を吸っているのであれば禁煙に励む、早い段階で治療に取り組むことで病気の進行を遅延させることは可能です。
しかし一度肺機能を低下させてしまうと、長い月日をかけて肺機能を戻していく必要があるため、1日でも早い生活習慣の見直しが先決になります。
医療機関での推奨としては40歳以上の喫煙者であれば1度診察してもらい肺年齢、肺機能を調べる必要があるといいます。
自分の肺年齢が10歳以上と診断された場合、それはCOPDにかかっている可能性が濃厚でしょう。
加熱式煙草も対象
今タール~%軽減などの謳い文句で煙草の主流になりつつある加熱式煙草。
では加熱式煙草であれば健康を害さないのでしょうか?
実は加熱式煙草にも非常に多いタールやニコチンが含まれており、従来の紙煙草と同じくらいの有害物質が含まれています。
仮に煙草会社の言うようにタールやニコチンを軽減できていたとしても人体に及ぼす害としては十分な量と言えます。
以前の紙煙草でもあるように、タール10mgと1mgの煙草があるとして、1mgに軽減してもCOPDの発症率は変わらないことから、加熱式煙草でいくらタールを軽減したとしても喫煙者にとってはCOPDが付きまとう問題とされています。
さらに加熱式煙草を吸う方は特に注目して欲しいのが動物実験のデータです。
今現在出ている煙草には依存性を高めるため、アンモニアも含まれています。
アンモニアが含まれていることでニコチンがアルカリ性に変化するのですが、変化することによってニコチンはより早い速度で脳に到達し吸収しやすくなります。
しかしアンモニアは紙煙草のような高熱で燃えると分解されてしまうため、加熱式煙草のような低温でゆっくりと燃えるほうが分解されずに効果的なのです。
加熱式煙草は従来の紙煙草よりもニコチン血中濃度が上がる動物実験データがあり、ニコチン依存性は加熱式煙草の方が高いともされています。
COPDの治療法

治療法としては主に薬物療法と呼吸リハビリテーションが挙げられます。
症状の重さに応じて酸素療法や外科療法などもあり、ぜんそくなどの呼吸器に疾患がある場合はそれらの疾患を考慮した治療が必要です。
現在の医学ではCOPDに対して完治させることが難しい病気です。
言い方を変えれば元の健康的な肺に戻す治療法がありませんが、少しでも早く気付き、治療を開始することで更なる進行を防ぎ、日常生活の不具合を防ぐことができます。
大切なセルフマネジメント
COPDで特に大切になるのがセルフマネジメント(自己管理)です。
COPDは慢性的病気であるため、長期間にわたって薬物療法、運動療法と総合治療で回復する必要があります。
この病気と上手に付き合い、回復を目指すのであればセルフマネジメントは欠かせません。
ここではセルフマネジメントの6項目をまとめましたので、是非ご覧ください。
①病気を理解すること
・COPDは長期目線で治療していくため、自分がCOPDであることをしっかりと理解し、医師にまかせきりになることなく前向きになることが大切です。
②薬物療法
・薬を用いて治療しますが、主な投与は気管支拡張剤となります。
気管支に直接効果を発揮することで呼吸器の気道を確保し、空気の通りが良くなることで呼吸がしやすくなります。
吸入薬は正しい使用方法で行わないと効果が下がったり、口内に薬剤が残ってしまいしっかりと効果を発揮することができないため注意が必要です。
③運動療法
・COPDになってしまうと呼吸がしづらいため運動不足になってしまいます。
しかし運動を怠ってしまうと、肺の機能が向上しないばかりか筋力も衰えてしまうことで更に息切れが酷くなります。
まずは自分に合った運動量を見つけ、ウォーキングなどから始めるなどしましょう。
④食事療法
・上手く呼吸ができないことで健常者よりも生活するうえで体力が失われるのがCOPDです。
バランスの良い食事を心がけ、適正体重を保ちましょう。
太りすぎは脂肪によって横隔膜を圧迫してしまうため更に呼吸がしづらくなってしまいます。
また痩せ型になると呼吸にエネルギーを消耗してしまい、息切れが酷くなるため命の危険にさらされます。
⑤在宅酸素療法
・呼吸がしづらいのは肺のガス交換機能が著しく低下し、血中の酸素不足によって起こります。
不足した酸素を注入することで改善し、今では在宅で行えるほど医学も進化しました。
⑥禁煙
・やはり1番の原因である煙草を止めることで呼吸器の改善が見受けられます。
煙草は肺機能だけに留まらず血管の酸素も消耗するなど患者を更に追い詰める引き金です。
しかし長年吸っている方に突如禁煙を勧めてもなかなか難しいため、禁煙治療薬を上手に使い煙草を止める努力をしてみましょう。
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参考サイト
・歌丸師匠も苦しんだCOPD(慢性閉塞性肺疾患)~患者と専門家の声から「タバコ病」の実態に迫る(石田雅彦) - 個人 - Yahoo!ニュース