「非定型うつ」とは?

「非定型うつ」とは? メンタル・精神

非定型うつとはその名の通り、一般的なうつ病の症状とは合わない部分のあるうつ病の1種です。

普段は落ち込みやうつ傾向にあるが、楽しいことなどがあると気分の落ち込みが改善させる特徴があり、「プチうつ」などと呼ばれ症状が軽いように思われてしまいますが、なかなか治りにくいとされます。

最近になって症状として認識されるようになった新しいタイプのうつ病、非定型うつとはどのような症状なのか?

定型うつの場合

一般的にうつ病と診断される症状(定型うつ)は、抑うつ状態がずっと続く状態をいいます。

抑うつとは、気分の落ち込みにより活動を嫌っている状態です。

何事にも意欲が湧かなくなり、考え方や喜びや楽しさを感じにくくなります。

さまざまな意欲が低下するため、食欲がなくなり体重が減少したり、性欲も感じなくなりEDの症状が現れます。

不眠や疲労感のため朝から午前中は気怠さや強い眠気がある、特に調子が悪くなる時間帯です。

集中力や記憶力の低下が見られ、意思決定が困難になるため日常での作業が難しくなります。

不安感や罪悪感の感情になりやすく、物事がうまくいかないのは自分のせいと感じ、周りに気を使い自分を責める傾向にあります。

悲壮感、絶望感、空虚感から自殺について考えるようにもなります。

このような抑うつ状態がずっと続いているのが定型うつの特徴です。

非定型うつの場合

非定型うつとは、うつの状態と気分が晴れた状態が入り混じり、出来事や状況によって気分に大きな差がある症状です。

定型うつのような抑うつ症状はありますが、自分が楽しいと思う事やテンションが上がる出来事では、喜びや楽しみを感じ明るく振る舞います。

他人の視線や、ささいな言葉に対し過敏に反応してしまい、不安やパニックの症状から相手に対してイライラをぶつけてしまう場合があります。

その他、不安やストレスによる過食・体重増加、過眠や昼夜逆転の症状も定型うつとは違う症状です。

過眠になる理由として、疲労感が体へ強く出てしまい、手足に鉛がついているような重さを感じ、ベッドや布団から起き上がれないと言われます。

時間によって体調が悪化するのも特徴で、夕方から夜にかけて気分の落ち込みや不安、イライラが起こり甘いものを食べたくなり過食になりやすくなります。

このように、うつの症状がずっと続かず、食欲や睡眠欲もあるように見られるため、周りからも自分自身も「非定型うつ」に気が付きにくいと言われています。

非定型うつになりやすいのは?

この非定型うつは現在急増していて、その割合はうつ病患者全体のの3~4割になると言います。

ほとんどが若い世代の20~30代となり、男性もいますが非定型うつの6~7割は女性なのだそうです。

これは確認されている数になるため、実際に悩んでいる方は潜在的にもっと多いのが現状です。

ちなみに、一般的なうつ病はストレスを受けやすい中年の方に多い症状です。

非定型うつになりやすいタイプは以下のタイプです。

遺伝的に心が不安定になる性質を持っている方

非定型うつは遺伝で性質を受け継ぐ場合があり、親や家族に同じような性質がある場合はこの症状が出やすいと考えられています。

まじめで我慢強い性格の方

几帳面でまじめ、自分の意見を抑え周りに合わせる性質で、小さい頃から「わがままを言わず偉い」と言われていた方には非定型うつが現れやすいものです。

特に母親にこの傾向があった場合、50%ぐらい確率で関係しているようです。

プライドが高く周りに弱みを見せたりしない方

完璧主義で人に甘えるのが嫌で、自分でなんとか解決しようとするプライドの高い方も、この症状になりやすい性質です。

他人の評価が気になる方

他人からどう見られているか、自分をどう思っているのか、他人からの視線や評価を必要以上に気にするのも特徴です。

不安を感じやすい性質の方はそれを回避するように、周りに同調したり自分の意見を抑えてしまいます。

人前で発言する場合なども、視線を気にするあまり不安感が煽られあがってしまうこともあり、対人恐怖症を併発することもあります。

その他の要因

小さい頃の環境が影響し、大人になってから症状が発現することもあります。

親の離婚や死別の経験があり、家庭で充分に甘えることが出来なかった、家庭内暴力や自然災害によるPTSD、幼い頃の記憶に残っている恐怖や不安を覚える体験など、蓄積された要因が大人になり何らかのストレスを受けることで発症することもあります。

非定型うつは見つかりにくい

非定型うつは、重度の抑うつ症状ではないため、そのうち改善すると思われてしまいますが、これがなかなか治りにくいのが現状です。

仕事の時は気分が落ち込みやる気が出ないが、休日に遊びに行くと気分が晴れるなど、楽しいことや嬉しい出来事があるとテンションが上がり、普段は意欲が無くイライラして人の意見に過剰に反応するなど、周りからすればちょっとわがままでともすれば甘えと捉えられることが多いようです。

自分自身もそういった性格なのかと考え、病気と気が付かないと言われています。

食欲も増し特に甘いものを欲しがるため、体重が増加し痩せようと思ってもなかなかうまくいきません。

そのためさらに落ち込むこととなり、症状は悪化します。

非定型うつとの接し方

定型うつと非定型うつの症状はそれぞれタイプが違うので、周りの接し方も変えてください。

基本的に定型うつの場合は、強い感じの「頑張れ」や「しっかりしろ」などの叱咤激励はいけません。

もともと自分を責める傾向の定型うつの場合、にさらに追い打ちをかけてしまい「もっと頑張らなければ」となってしまいます。

逆に非定型うつの場合は、ある程度であれば周りが「もう少し頑張ろう」「やればできる」とやさしさと厳しさを持って背中を押せば効果があります。

自殺を宣言したり願望があるのは助けを求めているサインなので、その場合はやさしく見守るようにしてください。

スキンシップも安心感や承認欲求を満たすものなので良いとされます。

非定型うつの改善方法

この病気は自然に治ることが難しいとされているので、しっかりと治療薬を使って改善していくことが必要です。

治療薬にはうつ病や不安障害に使用される、SSRIなどの抗うつ剤や抗不安薬を用います。

しかし、一般的なうつ病に使用される薬では効果が出ない場合もあるため、自己判断での薬の使用は避けてください。

必ず治療する際には、医師に診察やカウンセリングを受けるようにしてください。

その他にも、生活リズムがズレないよう朝と夜の時間を正常にする、食事もなるべく決まった時間にとる、体を動かし汗をかくなど、生活習慣の改善もお勧めです。

脳内のセロトニンやノルアドレナリンの分泌を促すので、症状の緩和に効果的です。

関連ページ

参考サイト

20~30代女性に増加している「非定型うつ病」って何?

非定型うつ病 wikipedia

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