オルリファストは飲むだけで脂肪の吸収を抑えてくれる、ダイエットに最適な医薬品ですが、体への負担はないのでしょうか。
医薬品の副作用としてよく聞く肝臓への負担やその他の副作用、オルリファストと肝臓の関係について紹介します。
オルリファストと肝臓の関係
食事を摂ると、膵臓から分泌された消化酵素「リパーゼ」により脂肪が分解され、消化管から吸収されます。
しかし、オルリファストは消化管でそのリパーゼの働きを阻害するため、脂肪が吸収されません。
このメカニズムは一見、肝臓とは関係なく感じますが、人が食事を摂ると、胃や腸で分解されたあと、肝臓へと送られ、肝臓で栄養素が加工されます。
そのため、肝臓へ直接的な作用がなくとも、肝臓に送られる前の段階で脂肪の吸収を抑えることから、「本来肝臓に来るはずだった脂肪が送られてこない」ということになります。
その点において、オルリファストは少なくとも肝臓に関係があると思われます。
オルリファストとは?
オルリファストは食べ物に含まれている脂肪の吸収を抑えて油分を体外に排出する医薬品です。
先発薬として「ゼニカル」が存在し、オルリファストは有効成分、効能などがゼニカルとまったく同じであるジェネリックです。
そのため、ゼニカルよりも安価に購入ができるというメリットがあります。
オルリファストは肝臓に悪いのか?
オルリファストの有効成分オルリスタットには副作用があり、その中に重篤な肝障害が報告されています。
しかし、オルリスタットと重篤な肝障害には因果関係がないとされてもいます。
重篤な肝障害が13件報告されており、うち12件が先発薬のゼニカル、1件はalli(アリー)で発生していたという報告がされていますが、はっきりとそれがオルリスタットによるものとは記載されておりません。
肝障害について気になるところではありますが、現状は「直接の因果関係はないが服用した方の中に肝障害が起こった」というところです。
参考:医薬品安全性情報 Vol.8 No.14(2010/07/08)
発症例
ゼニカルを服用し、肝障害が発症した方の例は以下となります。
体調など:アルコールの乱用歴はなし、ウイルス感染なし、薬の併用なし
経過:ゼニカル服用後3週間で肝機能検査値に異常が起きたが、症状はなく無症状で数値のみ異常が発生
その後:有効成分オルリファスト服用の中止後、2週間で黄疸症状、血清酵素が著しく上昇、最終的に肝移植を受けているが、摘出した肝臓は大規模な肝臓壊死があった
こうしたケースではありますが、オルリファストとの直接の因果関係は認められていません。
参考:LiverTox: Clinical and Research Information on Drug-Induced Liver Injury [Internet].
オルリファストを安心して使用するには
オルリファストを使用すれば必ず肝障害が起こる、肝臓が悪くなるといったことはありません。
すべての医薬品には副作用が存在しますが、それはどんな人でも同じリスクです。
それでも、自分の体の調子を把握しながら医薬品と向き合うのはリスク管理の面でも重要です。
オルリファストを安心して使用するには、定期的な数値検査をすることをおすすめします。
また、少しでも体に異常を感じたら使用を中止し、医師に相談するか、様子を見るようにしましょう。
オルリファストに関するQ&A
オルリファストに関してのよくある質問、さらに気になっていることも出てきたと思います。
以下、それらの質問に対する回答となります。
オルリファストとゼニカルの違いは何ですか?
オルリファストはゼニカルのジェネリックとなります。
有効成分、効能も全く同じでありながら安い価格で購入できます。
オルリファストはどれくらい痩せますか?
オルリファストはゼニカルと同様、食事における脂肪を約30%カットします。
ゼニカルの使用者の報告では、1年間の服用で-6.1kgの記録があります。
オルリファストは日本でも処方されている?
一部の美容クリニックなどで処方されていますが、ほとんどの場合処方されておりません。
日本ではゼニカルが多く処方されており、市販薬となるアライは、2024年4月8日(月)から販売予定です。
オルリファストも油漏れが起こりますか?
吸収されなかった油分が肛門から流れ出る油漏れですが、オルリファストも油漏れが起こるとされています。
ゼニカルと同一成分を含むため、効果が同等なだけでなく、副作用も同じです。
他、副作用としてビタミンも吸収されず肌荒れが起こるケースもあります。